敵玉を寄せる際に意識すべきこと

敵玉を寄せる際に意識すべきこと

1 views
あらきっぺ
あらきっぺ

2026年6月23日 23:21

櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

将棋で勝つためには、やはり終盤で敵玉をきちんと寄せる技術が大事です。ただ、寄せは序盤の定跡と違い全く同じ形になりにくいので、「知識をそのまま詰め込む」というアプローチで学習しにくい領域ではあります。そのため、「汎用性の高い法則」を認知することが大事ですね。

今回は、そうしたことをテーマに解説を進めます。

狭い玉には俗手で迫れ

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖2二玉と指し、早逃げしたところです。

この局面は、玉型に大差がついていること、及び先手が一方的に攻勢に出ていることから先手が優勢です。ただ、次に☖7五歩などで先手玉周辺に手を着けられるとそうした優位性が吹き飛ぶので、その余裕を与えさせないことが要点の一つですね。

結論から述べると、ここは☗3一金とくっつく手がベストです。

見た目は重たい俗手ですが、これが最も厳しい一着です。これは次に☗2一金☖1三玉☗3一竜という寄せを狙っています。また、☖1二銀で2一の地点に数を足すのも、☗4一竜と接近すれば次の☗3二金が厳しいので、一手一手の寄り筋となります。

こうした最上段に金を打ってしまうのは、筋が悪い見本のような一着なので、抵抗があるかもしれません。ただ、ここでは敵玉が上部へ逃げにくい(狭い)配置になっていることに注目して頂きたいです。狭い玉は当然ながら逃げ出すことが難しいので、重い攻めに空を切らせることが難しくなります。いなすことが出来ないのであれば、重い攻撃は手痛いダメージを与える手段になり得ます。ゆえに、こうした俗手が急所を突く寄せ方になるわけですね。

後手としては上部へ脱出しないと勝ち目が無いので、ここは☖5五角と指し、3三への逃げ道を作るのが最強の抵抗です。ただ、やはり先手は☗4一竜と迫るのが良いですね。これを指せば3三→4四という逃走を阻止できるので、入玉される可能性がぐっと少なくなります。

☗4一竜に対しては☖1三玉が一案ですが、先手は☗5六歩☖3七角成☗2一金と自然に寄せを進めましょう。

次は☗4二竜で詰めろを掛けることが出来ますね。後手が上部へ逃げるためには、2五の歩を取ることが必須です。そうなると☖3六馬で粘るのが妥当ですが、こちらは☗1一金☖2五馬☗2九香と進めて戦力を確保すれば、着実にゴールへ近づくことが出来ます。

これで銀を入手すれば、☗3三銀が打てるので一手一手の寄りとなりますね。後手は上部脱出にこだわるなら☖2四玉ですが、☗2八香が田楽刺しになるので未来が無いと言えるでしょう。この局面は、駒得を拡大しながら寄せが進んでいるので先手優勢と言えます。

こうして一連の進行を見ると、☗3一金の破壊力がよく分かりますね。

基本的に将棋は駒を効率よく使うことが大事なので、持ち駒の金を一段目に使うのは悪手になりやすい手と言えます。しかし、今回の題材のような狭い玉には重たい俗手が効果的な攻めになるケースが少なくありません。こうした法則を理解しておくと、敵玉を寄せるアプローチが分かりやすくなるかと思います。

最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。

また、櫻井将棋塾では、こうした将棋に関する発信やオンライン講座、オンライン指導などのサービスを提供しております。もしご興味がありましたら、以下のリンクからお申し付けください。

https://sakurai-shogi.co.jp/contact

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

#その他#櫻井将棋塾#終盤力の強化#寄せの技術
あらきっぺ

将棋系文筆家。本名は荒木隆。櫻井将棋塾の特別講師を担当。著書に「現代将棋を読み解く7つの理論」「終盤戦のストラテジー」など。将棋世界にて、「プロ棋界の最新定跡」「今月の妙手」を連載中。

人気記事

敵玉を詰ますときに意識するとよいこと

敵玉を詰ますときに意識するとよいこと

致命傷を避ける際に意識すべきこと

致命傷を避ける際に意識すべきこと

【対角交換振り飛車で役立つ攻め筋】

【対角交換振り飛車で役立つ攻め筋】