終盤の難所で意識すると良いこと

終盤の難所で意識すると良いこと

5 views
あらきっぺ
あらきっぺ

2026年9月17日 16:44

櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

将棋は終盤を迎えると、ほぼ確実に未知の局面になっていることでしょう。加えて、攻守の選択が難しい局面も少なくなく、指し手に悩むことは多々あるかと思います。

そこで今回は、終盤において有効になりやすい考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。

「ただ逃げるだけ」の手は選ばない

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗6三角と指し、飛車取りに角を打ったところです。

まさに終盤戦の真っ只中という局面ですね。こちらは自玉に余裕があるので、ゆっくり指す姿勢で良いのか、それとも急ぐ必要があるのか悩ましいところです。

前者の方針を選ぶなら、☖3一飛が考えられます。飛車を逃がすなら、ここが最も安定した逃げ場と言えるでしょう。

ただ、そこから☗4四桂と食いつかれると、非勢な状況を招きます。

金を剥がされると囲いが弱体化するので、上図では☖同銀☗同歩☖6五香と進めるのが自然です。しかし、そこから☗4三銀と放り込まれると、次の☗3二銀成☖同飛☗4三歩成が詰めろになってしまうので、こちらは一手負けが濃厚です。ゆえに、この局面は芳しくないですね。

こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、☖6五香と踏み込みました。これが急所を捉えた一着になります。

この段階で飛車を見捨てるのは暴挙のようですが、先ほどの失敗例では[☗6三角☖3一飛]という応酬が、こちらにとって損な取引になっていることが問題でした。安易に飛車を逃げてしまうと、相手に無条件で角を打たれていたり、飛車が攻めに使えなくなる損失を抱えます。その損を抱えるくらいなら、飛車取りは無視して寄せに向かうほうが得策なのです。

加えて、☗8一角成で飛車を取られても、相手の馬は働きが悪いという点も、飛車取りを放置できる要因の一つです。これらの理由があるので、冒頭の局面では飛車を逃げずに踏み込むほうが良いのです。

さて、相手としては、ここで飛車を取らないと角を打った辻褄が合いません。ただ、☗8一角成☖6六香と進めると、金取りと☖7六桂が同時に残るので受けが難しくなります。

そうなると☗6五同金☖同歩と進めてから☗8一角成で飛車を取るくらいですが、やはり☖7六桂で王手金取りを掛ける手が厳しいですね。

ここまで進むと、飛車を逃げずに踏み込んだ恩恵がよく分かります。玉型に大きな差がついており、こちらは寄せに専念できる格好ですね。

上図では☗9八玉と逃げるよりないですが、☖6八桂成☗同金☖8九金と畳みかければ、一手一手の寄り筋となります。

これは☖9九金からの詰めろですね。☗6九歩の受けが気になりますが、☖5八とで壁を削りにいけば問題ありません。次に☖6八とで金を取った手が、☖9九金☗同玉☖8九金からの詰めろになります。こちらは自玉に詰めろが掛からないので、2手スキの攻めで十分間に合うのが心強いですね。上図はこちらの一手勝ちが濃厚なので、勝勢と言えるでしょう。

こうして一連の進行を見ると、こちらは飛車を逃げずに攻め合いを選んだことで、一気に分かりやすい状況に持ち込めたことが読み取れます。

将棋の終盤戦は、基本的には「速度」が重視される世界です。速度は「手番」と言い換えても良いでしょう。☖3一飛のような「ただ逃げるだけ」の手を指すと、貴重な手番を失うことになるので、形勢を損ねる要因になり得ることが殆どです。そうした手を極力避けるようにすれば、終盤で競り負けることが減ってくるかと思います。

最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。

また、櫻井将棋塾では、こうした将棋に関する発信やオンライン講座、オンライン指導などのサービスを提供しております。もしご興味がありましたら、以下のリンクからお申し付けください。

https://sakurai-shogi.co.jp/contact

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

#その他#櫻井将棋塾#終盤力の強化#競り合いを制する考え方#攻守の判断#相居飛車の終盤
あらきっぺ

将棋系文筆家。本名は荒木隆。櫻井将棋塾の特別講師を担当。著書に「現代将棋を読み解く7つの理論」「終盤戦のストラテジー」など。将棋世界にて、「プロ棋界の最新定跡」「今月の妙手」を連載中。

人気記事

敵玉を詰ますときに意識するとよいこと

敵玉を詰ますときに意識するとよいこと

中盤の難所で意識すると役立つテクニック

中盤の難所で意識すると役立つテクニック

【対角交換振り飛車で役立つ攻め筋】

【対角交換振り飛車で役立つ攻め筋】