第25回倉敷王将戦大会レポート
2026年8月14日 02:35
第25回全国小学生倉敷王将戦に、櫻井将棋塾からは27名が出場しました。
結果は、
高学年の部 優勝・3位
低学年の部 優勝
塾として夢に見ていた低学年・高学年の同時優勝を達成することができました。また、高学年の部では3大会連続で優勝者を輩出することができました。
今回は大会前の準備から当日の様子まで、それぞれの生徒への指導を交えながら振り返ってみたいと思います。
高学年優勝――すでに高い実力を持っていた生徒への指導
高学年の優勝者は、今年2月に当塾へ入会しました。
入会以前からすでに非常に高い実力を持っていたため、櫻井が通常の形で指導するよりも、さらに高い次元での実戦経験を積むことが効果的だと考えました。
そこで特別講師に担当してもらい、実戦を中心とした指導を行っています。
幸い本人にもこの形が合っていたようで、現在まで継続しています。
指導者の最も大切な資質はその生徒に今何が必要なのかを考えることが大切です。
すでに高い棋力を持っている生徒であれば、教えること以上に環境を用意することが指導者の資質と考えます。
高学年3位――この一年で最も伸びた生徒
高学年3位の生徒は、当塾でこの一年間、最も伸びた生徒の一人と言っても過言ではありません。
初めて指導したのは昨年4月。その直前は研修会E2でした。
指導を始めて3か月ほど経った頃から効果が表れ始めたのか、成長速度が飛躍的に上がっていきました。
指導は櫻井と馬場で役割を分担しています。
櫻井は角換わりや対振り飛車をはじめ、幅広い作戦選択を担当。馬場は相居飛車を中心に、基礎能力そのものを高めることを重視してきました。
大会が近づいてからは、新しいことを増やすよりも、本人が持っている力を本番で出し切ることを優先しました。
そのため、本人の得意な形や想定局面へ誘導しやすい作戦を伝え、大会に備えました。
一年間の成長が全国大会3位という結果につながったことは、指導する側としてもうれしく思います。
低学年優勝――調子を崩した時期をどう過ごすか
低学年の優勝者は、地区大会で優勝した頃から大きく調子を崩していました。
こういう時に無理に修正しようとすると、かえって状態を悪くしてしまうことがあります。
そこで今回は、好きなことをたくさんやってもらうことにしました。
その一方で、講師との対局数は大幅に増やしました。
細かいことを詰め込みすぎず、将棋を楽しみながら実戦感覚を取り戻してもらう。そんな形で全国大会に備えました。
結果として全国優勝までたどり着いてくれたことを、とてもうれしく思います。
前日は17名で倉敷練習会
大会前日には倉敷で練習会を開催し、合計17名の方にご参加いただきました。
現在の指導スタイルでは、これくらいが一度にしっかり指導できる限界人数です。
もっと多くの方と指したいという思いもありますので、今後は講師陣をさらに充実させていかなければならないと感じました。
ただし、一人の講師が担当するのは2面指し以下という現在のスタンスを崩すつもりはありません。人数を増やすために一人ひとりへの指導が薄くなってしまっては意味と考えます。
大会当日――低学年は厳しい組み合わせに
今大会は当日の抽選ではなく、事前に組み合わせが発表される方式でした。
発表された組み合わせを見ると、低学年では「これはできれば避けたかった」と思うほど、実力者が偏った組がありました。
一方、高学年については例年通り、どこに入っても大変という印象でした。
予選が始まり、高学年については事前にかなり細かく準備していたため、当日に改めてアドバイスすることはほとんどありませんでした。
低学年については、事前カバーしきれていなかった戦型を、対局の合間に補足していきました。
低学年1名、高学年4名が決勝トーナメントへ
予選の結果、櫻井将棋塾からは
低学年1名、高学年4名
が勝ち残りました。
今年はかなり厚い代表メンバーが揃っていると思っていましたが、それでもこの人数です。
改めて全国大会の壁の厚さを感じました。
低学年決勝――青山倖大君が優勝
低学年の決勝戦は、
青山倖大君(栃木)―伴場洸太郎さん(福島)
となりました。
棋譜はこちらに公開されております。
居飛車側の駒の連結がよく、作戦勝ちからそのまま押し切ったという印象の一局でした。
青山君とはこれまで振り飛車穴熊の将棋を一局も指したことがありませんでしたので、この大舞台でよく乗り切ってくれたと思います。
見事、低学年の部で全国優勝となりました。
高学年決勝――安藤隼人君が優勝
高学年決勝は、
金子巧磨君(長野)―安藤隼人君(静岡)
となりました。
大会前、記者の方から「優勝候補と見ている選手はいますか?」と聞かれていたので、私は安藤君の名前を挙げていました。
決勝の棋譜はこちらに公開されています。
安藤君はいつも通り序盤がおおらかで、本局も早い段階で形勢を損ねてしまいました。
しかし、終盤に入ってからの強さは圧倒的でした。特に印象に残ったのは68手目の△2四同歩です。△2四同歩の局面は、何も考えずに同歩としてしまってもおかしくないところです。
しかし安藤君はすぐには指しませんでした。
手抜く可能性や同銀と取る可能性など、ほかの選択肢もしっかり考えていたのでしょう。時間を使ったうえで、最終的に△2四同歩を選びました。
一見すると普通の一手ですが、こういう局面できちんと立ち止まり、他の可能性を検討できるところに大器の片鱗を感じます。
その後も冷静に局面を見切り、安藤君が優勝。
高学年の部でも、櫻井将棋塾生が全国の頂点に立ってくれました。
低学年・高学年同時優勝
この結果、櫻井将棋塾として一つの目標にしていた、
低学年・高学年の同時優勝
を達成することができました。
さらに高学年では、3大会連続で優勝者を輩出することができました。
今回結果を残した3人を見ても、それぞれ大会までの過程はまったく違います。
すでに高い実力があり、より高次元の実戦環境を用意した生徒。
一年間かけて基礎と作戦の両面を伸ばし、大きく棋力を上げた生徒。
調子を崩したため、あえて好きな将棋をたくさん指してもらいながら実戦量を増やした生徒。他にも全国大会での一勝を目指した生徒や地区予選突破を目指した生徒など色々な目標を掲げた生徒がいました。
同じ指導を全員に当てはめるのではなく、その時の棋力や状態、目標に合わせて何が必要なのかを考える。
今回の結果を振り返ると、改めてその大切さを感じます。
もちろん、最後に盤の前で戦うのは本人です。
私の力など結果に与える影響は大したものではないと思っています。それでも、塾生たちがこうして結果を出してくれると、日々の指導や環境づくりについて「しっかりやれているのかな」と少し安心することができます。
出場した皆様、本当にお疲れさまでした。
そして、全国大会という大きな舞台で素晴らしい将棋を見せてくれた皆様、ありがとうございました。
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