超速で覚えておきたい定跡(2)
2026年10月29日 15:54
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
ゴキゲン中飛車に対して居飛車の作戦は複数ありますが、目下のところ最強と見られているのは超速です。そのため、この戦型の定跡を知っておくことは、居飛車党にとって大きな意義があると言えるでしょう。
今回は、この戦型の定跡を解説したいと思います。
自分だけ金を囲いにくっつける
今回は、上記ツイートの手前の局面から解説を進めます。下図は相手が☖8二銀と指し、囲いを整備したところです。

こうした局面は、居飛車が超速を採用すると出現しやすいパターンの一つです。持久戦系の将棋になっており、互いに囲いを堅く組むことが予想される状況ですね。
居飛車は堅さ負けしないよう、ここから穴熊を作ることになるのですが、その前に指しておきたい一着があります。具体的には、☗8六角と覗いておくのが大事な一着ですね。

これは角の睨みを敵陣に届かせることにより、☖5一金と寄る手を牽制した意味があります。こうして4一の金を囲いに合体できない状態にすれば、こちらは囲いの堅さでリードを奪えることが期待できます。
ちなみに、もし後手が☖8二銀の前に☖4二角と指した場合も、☗8六角とぶつける手が成立します。角交換になれば相手は2筋を受ける必要が生じますし、バランスも重視しなければならないので穴熊に組んでいることが仇になりかねません。こちらは銀冠に組めば安定感の高い布陣に組めるので、作戦勝ちが期待できます。

さて、上図で後手は8六の角の利きが直射していると厄介なので、以降は☖6二飛→☖6四歩という要領で駒組みを進めることが予想されます。対して、こちらは淡々と穴熊に組んでおきましょう。

振り飛車としては、飛車を6筋に配置したことを活かすべく、上図では☖6五歩から一歩交換するのが妥当です。対して、こちらは引き続き囲いの整備に努めます。すると、以下の図面を迎えることが予想されます。

さて、こうした状況になると、居飛車の方が堅い穴熊を作れていることが分かります。4一の金と6七の金の差がその要因で、居飛車は次に☗7七金と寄れば金銀三枚が合体しますが、振り飛車はどうしても金が離れた状態が持続することになるのです。
振り飛車があの金を囲いに合体させることを第一に考えるなら、☖5二金☗7七金☖6二金寄が一案です。しかし、金を6二に寄せると☗6五歩→☗6八飛の逆襲を誘発する恐れがあります。
加えて、☖6二金寄のときに☗1六歩☖7二金寄☗3七桂という進行も、振り飛車としては気になる順です。こうなると次の☗4五桂から5三を狙われる手が厳しく、振り飛車は金を7二まで寄せた姿勢が裏目に出ています。こうした背景があるので、振り飛車は4一の金を囲いにくっつけにくい状況になっているのですね。

それを踏まえると、ここで振り飛車は☖4二角とぶつけて、目の上のたん瘤である8六の角を消しに行く手も考えられます。ただ、先述したように、角交換になると2筋を攻撃しやすくなるので、居飛車が恐れる必要はありません。☖4二角には☗同角成☖同金☗7七金と進めてくのが冷静な対応ですね。

一旦、離れ駒を消しておくのが大事なところです。これを怠り、☗2四歩☖同歩☗同飛と攻めると、☖5八角の反撃が厄介です。これで4七に馬を作られると、居飛車は銀取りを味よく防ぐ手段が難しいので、本意ではありません。
しかし、こうして離れ駒を消しておけば、☖5八角の威力が下がるので、次こそ☗2四歩を決行できます。そして、振り飛車はそれの対処が難しいですね。☖3三銀と引くと☗5五銀で歩が取れるので、有効な受けがありません。上図は居飛車の方が堅い囲いを作れている上に、確実な攻めも確保しているので居飛車が作戦勝ちだと言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、居飛車は角を8六に配置することで、敵の動きを牽制できたことが読み取れます。

こうした超速の将棋から相穴熊に組み合う将棋では、☗8六角型に構えることが急所です。ここに角を配置すると4一の金の合体を妨げられるので、堅さのアドバンテージを得やすい将棋に持ち込めます。これは非常に汎用性が高い指し方なので、ぜひお試し頂ければ幸いです。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!
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