致命傷を避ける際に意識すべきこと

致命傷を避ける際に意識すべきこと

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あらきっぺ
あらきっぺ

2026年4月24日 11:49

櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

明らかに優勢な将棋だったのに、「受け間違いによって逆転されてしまった......」という悔しい経験を持っている方は多いかと思います。勝率を高めるためには、致命傷を避ける技術の習得が必須であることは確かですね。

そこで今回は、そうしたことを行う際に意識すべきことを解説したいと思います。

種駒を置かれると困る場所をきちんとケアする

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗5三銀と指し、こちらの玉に迫ったところです。

この局面は[飛角⇆金香]という駒割りになっており、こちらが大きく駒得しています。ただ、玉型に関しては一方的に危うい状況になっているので、ここで食いつきを許すとおかしいことになってしまいます。正確な受けが求められる場面ですね。

この☗5三銀は数的不利の場所に駒を打ち込んでいるので、全て取って良いのなら話は簡単です。具体的には☖同銀☗同桂成☖同金という進行ですね。

しかし、こう進めると☗2三銀と打たれて逆転を許してしまいます。

こうなると、「金なし将棋に受け手無し」という格言通りの状況に陥っています。ここで☖2二飛と抵抗しても☗1三香成で受けなしですし、☖4二飛も☗3三香で受けがありません。これは駒得が宝の持ち腐れになっており、選んではいけない進行ですね。

このように、上図の相手は将来的に2三に銀を置くことを念頭に置いています。受け側としては、こうした自玉の近い場所に種駒(寄せの手掛かりとなる駒)を設置させると、面倒な状況になりかねません。ゆえに、上図ではそこをケアすることを第一に考える必要があります。

具体的には、☖3二金と寄るのが明るいですね。

この受け方を選べば、2三や3三に種駒を設置される展開を阻止できるので、自玉の安全が確保されます。なお、こう指すと6二の銀がタダで取られてしまいますが、こちらは元より大きく駒得しているので、銀を一枚取られた程度では大したダメージがありません。

加えて、「終盤は駒の損得よりも速度」という格言が示唆するように、終盤は駒の損得をそこまで重視しなくても良い状況でもあります。こうした事情があるので、銀を一枚犠牲にしても差し支えないのです。

相手は銀を取る以外に有効な攻めが無いので、上図では☗6二銀不成と指すくらいです。対して、こちらは自然に☖7九飛成で竜を作っておきましょう。こうなると、こちらの攻め合い勝ちが濃厚になってきました。

次は☖4八銀と打つ手が痛烈です。相手は☗1三香成が最速の攻めですが、それを指すと☖1六桂で頓死するので成立しません。しかし、香が成れないとなると、☖4八銀より早い攻めはありませんね。

そうなると☗5九香で粘るくらいですが、こちらは☖8五角で追撃しておけば問題ないでしょう。

これは次に☖4九角成☗同銀☖5九竜という寄せを狙っています。それを防ぐには☗5八金引が一案ですが、☖5七桂で畳みかければ一手一手の寄り筋です。

また、相手は持ち駒を投資すれば自玉の安全を確保できますが、そうすると攻めが切れてしまうので勝ち目がありません。上図は彼我の戦力差が甚だしく、こちらが大いに優勢ですね。

そして、こうして一連の進行を見ると、こちらは3二に金を寄ったことで、常に自玉が安定していることが読み取れます。

将棋で敵玉を寄せるためには、寄せの手掛かりとなる駒を敵玉の近くに配置することが第一歩です。それを踏まえると、受け側はそうした駒をなるべく置かせないように注意を払うことが絶対です。今回の題材で言えば、2三や3三の地点に種駒を置かれると困るので、そこに守り駒の利きを残しておくことが肝要です。こうした視点で受けを考えると、駒の損得などの些末な要素に惑わされることなく、急所を見抜いた判断ができるようになるかと思います。

最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。

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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

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あらきっぺ

将棋系文筆家。本名は荒木隆。櫻井将棋塾の特別講師を担当。著書に「現代将棋を読み解く7つの理論」「終盤戦のストラテジー」など。将棋世界にて、「プロ棋界の最新定跡」「今月の妙手」を連載中。

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