雁木系の将棋で知っていると役立つ構想
2026年9月4日 15:25(編集済み)
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
現代将棋において、後手雁木は主要戦法の地位を確固たるものにしていると言えます。ただ、この戦法は急戦が手強く、それに対抗できる構想を用意しておかないと指しこなせない側面はありますね。
そこで今回は、急戦志向の相手に対して有力な構想を解説したいと思います。
金の圧力で対抗する
改めて、上記ツイートの局面を提示します。下図は相手が☗7七角と指し、8筋の歩交換を防いだところです。

相手は早めに3七に銀を出していることから、早繰り銀を志向しています。これは対雁木において、最強と言える急戦策ですね。
こちらは自然に駒組みを進めるなら、☖4三銀から☖3二金と指すことになります。それはそれで一局の将棋ではありますが、雁木は受け身になりやすく、不満を抱えた進行になりやすい側面があります。
そうした背景があるので、筆者は少し捻った指し方を選びました。具体的には、☖4三金☗8八銀☖5四金と進めます。これがアグレッシブな構想ですね。

傍目には異様な指し方に感じますが、これが臨機応変な駒組みです。ここに金を配置すると、攻防共に機能するので、この金は意外に悪形にならないのです。
もし上図で☗7八玉のように穏便に駒組みを進めてきたら、すかさず☖6五金と繰り出しましょう。こうなると先攻に成功しているので、相手は「早繰り銀で攻める」という状況になりません。また、この進行は敵の玉の移動をダイレクトに咎めることにも成功しているので、これは雁木側が面白いですね。

相手はここで穏便な手が指せないので、☗3五歩☖同歩☗2六銀と先攻する手も考えられます。こうなると、こちらは金を6五へ出る余裕はありません。
ただ、☗3五歩☖同歩☗2六銀の仕掛けには、☖3六歩☗3八飛☖4五金と進めれば、敵の攻めを足止めすることが可能です。

こうなると、相手は☗3五銀や☗3六飛といった手が指せないので、有効な攻めがありません。これは金の圧力が光っている進行ですね。このように、5四に出た金は攻めにも受けにも働くので、実は理に適った配置になっているのです。
こちらは局面が落ち着けば、☖4三銀→☖3二金で雁木を作れば良いので、方針が分かりやすいですね。これも雁木不満無しと言えるでしょう。

なお、これまでの話を踏まえると、相手は☗8八銀と上がる前に☗4六銀を指し、攻めの速度を上げるプランも考えられます。ただ、これも同様に☖5四金と上がれば良いですね。上図で☗3五歩には☖4五歩で切り返せるので、やはり相手から有効な攻めはありません。これもこちらは不満が無いと言えるでしょう。
こうして複数の変化を見ると、5四に金を繰り出す構想の優秀性が分かります。

雁木は[☖4三銀・☖3二金型]に組むのが自然ですが、その配置は4三の銀を固定しなければならないので、銀が前進できず攻撃力が皆無である点が気になります。ただ、こうして☖3二銀型の状態で金を繰り出せば、2・3筋の守りを保ちながら攻めの手段を作れるので、受け身になりにくい側面があります。この構想は、先手が[☗6八玉・☗3七銀型]を早く決めると成立しやすいので、雁木を指すプレイヤーは視野に入れておくと良いでしょう。
最後に、初期局面から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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