横歩取り系の将棋で知っていると役立つ手筋
2026年8月20日 17:49
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
横歩取り系の将棋は激しい展開になりやすく、かつ自陣の守備力も高くなりにくい性質があります。相手の技を食らってしまうと粘りが利かなくなることも少なくありません。上手く致命傷を負わないスキルが求められる将棋と言えます。
今回は、そうした場面で役立つ手筋をテーマに解説を進めます。
歩を消費させて敵の攻撃力を落とす
改めて、上記ツイートの局面を提示します。下図は相手が☖5五角打と指し、両取りを掛けたところです。

ご覧のように、こちらは☖8八角成と☖1九角成という複数の狙いを見せられています。特に、無条件で前者を許すと駒損が激しいので、それを回避するのは絶対と言えます。
そうなると☗7七桂や☗7七銀と受けるのが妥当に思えますが、それよりも☗8三歩と反発するのが強い手です。これがこの局面における最適解ですね。

ここで☖8八角成から二枚替えをされたら、☗8二歩成でと金を作ります。その進行は一時的には駒損ですが、7二の銀が確実に取れる上、敵陣に飛車を打ち込む展開も見えています。ゆえに、相手はこの垂れ歩を無視できません。
そうなると、後手は☖8一歩と受けるのが最も自然です。ただ、これを強要させるのが先手の狙いでした。この歩を打たせてから☗7七桂と跳ねるのが良い対応になります。

もし[☗8三歩☖8一歩]の交換を入れずに☗7七桂を指していると、☖8七歩と叩かれる手が気になります。これを☗同金以外の応手だと☖7七角成が厳しいので☗同金は致し方ないですが、そこで☖1九角成を指されると、先手は8筋の配置が歪でまとめるのに苦労します。☗8七金型になると☗8三歩を打ったときに☖8四香が痛打になるので、敵陣を攻めることが難しくなります。それが先手にとって泣きどころですね。
ただ、上図であれば☖8七歩を叩かれる可能性はゼロなので、その心配はありません。また、桂を跳ねておけば☖6五桂も防止できるので、☗7七銀よりも安定感が高いですね。

問題は、ここで☖1九角成と香を取られた場合です。ひとまず先手は☗3七桂で馬を閉じ込めましょう。これは次に☗1七飛で捕獲することも視野に入れているので、☖1八馬と引くのは必然です。ただ、これで先手は手番を握れたので、☗7五歩と反撃する手が期待の一着になります。

こちらは桂を入手すると、☗3四桂が楽しみです。ただ、後手は7三の桂を上手く守る術がありません。☖8三銀と指しても☗8四歩で銀を動かされてしまうので、7四の地点を強化する手段がないのです。
そうなると後手は攻めに転じて活路を見出したいですが、上図では歩切れが痛く有効な攻めも難しい状況です。もし、一歩でも持っていれば☖3六歩と打てるのですが......。こうしたところにも、[☗8三歩☖8一歩]の利かしを入れた恩恵が表れていますね。上図は香損ながら彼我の陣形の安定感に甚だしい差がついており、それが大きいので先手優勢と言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、☗8三歩と打つ手の価値の高さがよく分かります。

横歩取り系の将棋は攻めが細くなりがちなので、持ち歩の数には敏感になる必要があります。こうして敵の持ち歩を消費させておくと、攻撃力を低下させることに繋がるので、相対的に自陣が安全になります。特に、上図のような相手を歩切れに強要できる場合は非常に効果が高いので、ぜひ意識して頂ければ幸いです。
最後に、テーマ図から最終図までの手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!
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