左美濃急戦を指す上で覚えておきたい構想

左美濃急戦を指す上で覚えておきたい構想

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あらきっぺ
あらきっぺ

2026年7月2日 22:41

櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

矢倉に対する作戦は様々ありますが、左美濃急戦が発動できる場合は、これを使うのが一番です。ただ、この戦法は仕掛け周辺の指し方で失敗すると攻めが空転するので、その辺りの構想が大事ではあります。今回は、そうした部分をメインに解説を行います。

金銀四枚の守りには五枚の攻めで倒す

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。下図は相手が☖5三銀と指し、4筋を補強したところです。

こうした局面は、[矢倉vs左美濃急戦]という戦型において、出現しやすい形です。こちらは一方的に攻撃できる状況ですが、相手も守りが堅いので簡単に攻略できるわけではありません。

例えば、ここから☗4四歩☖同銀左☗4五銀とぶつけるのは自然ですが、☖3一玉で待たれると大変なところがあります。

こちらは攻めの銀と守りの銀を交換する権利を得ていますが、3三の銀が動いたことで、角交換になる可能性が高い局面になっています。そして、角を交換すると☖5五角の反撃を気にしなければならないので、こちらは攻める条件が少し悪くなってしまいます。上図は先手が不利というわけではないですが、もう少し条件の良い進行を選びたい印象はあります。

こうした背景があるので、冒頭の局面では別の構想が必要です。具体的には、☗4七金と上がるのが面白いですね。

これは金を繰り出すことで、攻撃力をさらに高める意図があります。ご覧のように、上図の相手は金銀四枚を使って守備力を最大にした指し方を選んでいます。これを突破するには、こちらも攻撃特化の構えを採ることが必要です。ゆえに、金を繰り出すのが有力な手法になります。

この後は、☗4六金と上がって☗3五歩と突きましょう。これで争点を増やすのが良いですね。

相手はこれを放置すると、☗3四歩☖同銀☗3五歩で駒損になってしまいます。よって、上図では☖3五同歩☗同金☖3四歩と進めるのが妥当です。

ただ、今度は金が参戦しているので、先ほどとは攻めの威力が違います。☖3四歩には☗2四歩で休まずアクセルを踏みましょう。

これを☖同銀だと、☗4四歩☖同銀☗2四金☖同歩☗2五歩☖同歩☗2四歩と攻めるのが良いですね。2二に角が居るので、2筋を継ぎ歩するのが効果的な攻めになっています。

また、上図で☖2四同歩の場合は、☗4四歩☖同銀右☗同金☖同銀☗2五歩☖同歩☗2四歩と進めれば問題ありません。

次は☗2三銀や☗2五飛が痛烈です。しかし、相手はそれらの攻め筋を同時に防ぐ術がありません。上図は先手の攻めが決まっており、矢倉の攻略に成功したと言えるでしょう。玉型の安全度に大差がついているのも大きいですね。

こうして一連の進行を見ると金を繰り出した構想の優秀性が読み取れます。

このように、相手が金銀四枚を使って徹底防戦の姿勢を見せた際には、金を攻めに使って攻撃力を底上げするのが有力です。金を攻めに使うと当然ながら守備力は落ちますが、この場合は相手の攻撃力が皆無なので、守りを重視する必要がありません。そうした点も金を繰り出す手が成立している要素と言えるでしょう。裏を返せば、相手がもう少し攻め味の強い指し方を採った場合は、金銀三枚の囲いを維持したほうが良いという理屈になります。

最後に、初期局面から最終図までの手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。

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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

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あらきっぺ

将棋系文筆家。本名は荒木隆。櫻井将棋塾の特別講師を担当。著書に「現代将棋を読み解く7つの理論」「終盤戦のストラテジー」など。将棋世界にて、「プロ棋界の最新定跡」「今月の妙手」を連載中。

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