終盤の入口で意識しておくと良いこと
2026年8月12日 21:20
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
将棋は終盤を迎えると、ほぼ確実に未知の局面になっていることでしょう。特に、終盤の入口では候補手が多いケースが多いので、指し手に悩むことも少なくないかと思います。
そこで今回は、終盤の入口において有効になりやすい手をテーマにして、解説を進めたいと思います。
自玉が安定している配置を作る
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖7五同歩と指し、こちらの角を取ったところです。

この局面は、こちらから見て[飛桂香⇆金銀]の交換になっており、大きな駒得となっています。また、手番を握っていることも嬉しいですね。ただ、9一の馬の働きが弱かったり、自玉が少し不安定なきらいもあるので、まだ勝勢というレベルではない形勢です。この優位をどう勝ちに結び付けるか、という状況ですね。
上図から攻めるなら、☗8一飛成が目につくところです。ただ、こう指すと☖8六歩で嫌味を付けられたときが厄介ではあります。

これを☗同竜なら自陣は安定しますが、竜が撤退すると直前に指した☗8一飛成がほぼ無効化されます。また、その後に☖8八歩と打たれて自陣の形を乱されるのも嫌らしいですね。
ただ、この歩を放置して次に☖8七歩成を許すのも、こちらとしては味が悪い展開です。そのと金を竜で取ると攻撃力が、金で取ると守備力が落ちるので、理不尽な二択を突きつけられてしまいます。上図は先手が不利ではありませんが、欲を言えばもう少し得を追求したいですね。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は別の手を選びました。具体的には、☗7九玉と寄ります。これが堅実な一着ですね。

貴重な手番を渡すので魅力を感じないかもしれませんが、これが非常に価値の高い手です。こうすれば☖8六歩や☖8八歩で嫌味を付けられる心配はないですし、☖4七角の王手も未然に防いでいます。それはつまり、この後に☗7四桂が打ちやすくなることを意味します。たった一手の整備ですが、自玉の安定感が抜群に上がった印象を受けるでしょう。
上図でひとまず相手は☖8五歩と打って飛車の成り込みを防ぐのが妥当ですが、こちらは自然に☗2六飛と逃げておきます。

こちらは飛車は成れなくなりましたが、ここに飛車を配置すれば次の☗3四歩が厳しい一打になります。そのため、これはこれで十分に攻め味が残せていますね。
相手は☗7四桂や☗3四歩など、複数の攻め筋を見せられているので有効な受けはありません。攻め合いに活路を求めるなら☖5八金が一案ですが、こちらは☗3四歩☖3二金☗3三香で攻め合ってしまえば問題ないですね。

相手は金を剥がされるわけにはいきません。よって、上図では金を逃がすくらいですが、①☖2二金には☗3一飛☖5二玉☗1一飛成。②☖4二金寄には☗7四桂と迫れば、一手一手の寄り筋です。こちらは☖6九銀と絡まれても詰めろにならないので、敵玉に2手スキで迫れば十分に競り勝てます。上図は攻め合い勝ちが濃厚なので、こちらが勝勢と言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☗7九玉と寄ったことで、分かりやすい一手勝ちコースへ持ち込めたことが読み取れます。

終盤は基本的に敵玉を寄せることを行うのですが、このとき自玉が不安定だと、寄せに専念することが難しくなるので局面の難易度が上がってしまいます。そのため、寄せに向かう直前に一度受けに回り、自玉の安全度を高めておくのは非常に大事な工程と言えます。これを行うと反動を気にせず攻めに専念できるので、煩雑な状況を防ぐことに繋がります。終盤の入口でこうしたことを意識すると、逆転負けを減らせるのではないでしょうか。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!
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