中盤の難所で意識すると良いこと(7)
2026年9月10日 18:01
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
将棋の中盤戦は茫洋なところがあり、何が正解なのか見当がつきにくい状況に直面することも珍しくありません。そして、そうした場面は往々にしてミスが出やすいものです。
そこで今回は、中盤の難所で意識すると良いことをテーマに解説を進めます。
なお、パート6の記事は以下のリンクからご覧ください。
遊び駒の活用を優先せよ
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗6四同角と指し、こちらの角を取ったところです。

この局面は、駒の損得はないものの、居飛車側は飛車を独占することに成功しています。これは舟囲いの耐久力を高める要因になっています。また、相手の美濃囲いは歩が削れているので、デフォルトよりも薄い格好となっていますね。この局面は玉型の差があるので、居飛車のほうが面白い将棋です。この優位性をどう拡大するかがテーマですね。
上図で飛車の成り込みを優先するなら、☖6六飛☗9一角成☖6九飛成と進めることになります。これで良ければ話は簡単ですが、そこで☗8一馬と桂を取られると、どうでしょうか。

こうなると、居飛車は駒損になった上、次の☗5四馬が嫌らしい一着です。この馬引きは☗4四桂という攻めを狙っているので、これを許すと居飛車は自玉に脅威が及んでしまいます。
ただ、上図で☖8九飛と二枚飛車を並べても☗5九香でブロックされてしまうので、有効な攻め筋がありません。上図は駒損の代償が見込めないので、居飛車が非勢に陥っていますね。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、別の策を採りました。具体的には、☖7三桂と跳ねるのが賢明な一着ですね。

こう指すと飛車の活用が遅れますし、自分の桂に紐を付けなければならないので、☖6六飛も指しにくくなります。ゆえに、指しにくい印象を受けるかもしれません。
しかしながら、冒頭の局面で8一の桂は、遊び駒と言える存在でした。これを活用しながら敵の狙い(☗9一角成)を封じているので、この手は見た目以上に大きな価値があるのです。

さて、振り飛車は黙っていると、☖6九飛と打たれる手が厄介です。ただ、☗6七銀で飛車を追っても☖7四飛で手番を取られてしまうので、7六の飛を追いかけるのは現実的ではありません。また、☗8二角と打つのは☖7二歩で桂を支えられると、打った角の運用に手間取るので、これも効率が悪いですね。
そのため、上図では☗3七角と引いて先受けするのが関の山です。対して、居飛車は☖3五歩で角頭を狙いましょう。これが最も厳しい攻め方になります。

これを☗同歩だと☖3六歩で拠点が作れるので、相手は3六の地点をケアするのが妥当です。しかし、その具体案が意外に難しいですね。☗4七銀打では攻撃力が落ちてしまうので、☖6九飛からゆっくり攻められると攻め合い負けが濃厚です。
また、節約するなら☗4七金になりますが、この金を動かせば☖6八飛と設置する手が絶好になります。

こうすれば、次に☖7八飛成→☖7七飛成で7六の飛を使う目途が立ちます。それが間に合えば、こちらは攻めがぐっと手厚くなるので分かりやすくなりますね。
ただ、相手はそれを防ぐ手立てがありませんし、船囲いを攻める有効な手段もありません。上図は居飛車のほうだけ確実な攻め筋を有していることが大きく、居飛車が上手く優位を拡大できたと言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、居飛車は☖7三桂と活用したことで、局面を良い方向へ導けたことが分かります。

将棋は駒の損得が五分だと戦力差がイーブンですが、そうなると相手を突き放すことが出来ません。ゆえに、相手を突き放すためには効率面で差をつけることを意識するのが肝要です。特に、☖7三桂のような元々の働きが弱かった駒をきちんと使う手は、すこぶる高い価値があります。この点を踏まえて指し手を考えると、良い選択ができるようになるかと思います。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!
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