雁木系の将棋で知っていると役立つ構想(2)
2026年10月15日 13:58
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
現代将棋において、後手雁木は主要戦法の地位を確固たるものにしていると言えます。ただ、この戦法は急戦が手強く、それに対抗できる構想を用意しておかないと指しこなせない側面はありますね。
そこで今回は、急戦志向の相手に対して有力な構想を解説したいと思います。
なお、パート1の記事に関しましては、以下のリンクからご覧ください。
3筋の配置を逆用する
改めて、上記ツイートの局面を提示します。下図は相手が☗3六歩と指し、陣形整備を進めたところです。

ご覧のように、相手は右四間飛車に構えています。将来、☗3七桂→☗4五歩から4筋を攻撃してくることは明らかで、こちらはそれに対する備えが求められている状況です。
4筋を強化するのであれば、☖5三銀や☖5二金が自然ですね。ただ、上図ではもっと積極的な構想があります。具体的には、☖3一角と引くのが面白い一着ですね。

ここに角を引くと、間接的に4筋の利きを減らすので、「4筋を強化する」という姿勢とは逆行しています。ただ、これは受けを重視するのではなく、攻撃に転じることで敵の攻め筋を牽制する狙いがあるのです。
例えば、ここで相手が☗3七桂と跳ねてきたら、☖8六歩☗同歩☖同角から8筋の歩を交換しておきます。以下、☗同角☖同飛☗8七歩☖8二飛と進むのが妥当ですね。

ここで相手は☗4五歩と突いて良ければ明快ですが、現状では☖同歩☗同桂と進めたとき3七に角を打たれる傷が残っているので、直ちに動くことはできません。
しかし、ここで☗6九玉のように緩むと、すかさず☖3五歩で桂頭を攻撃する手があります。相手は☗4七銀と引けば致命傷にはならないですが、この銀を後退するようでは不本意です。以下、☖3六歩☗同銀☖5三銀と進めておけば、相手は☗4五歩が突きにくい(☖5五角の両取りがある)ので雁木不満なしですね。
このように、8筋の歩交換に成功すれば☗3七桂型を咎めることができるので、敵の出鼻を挫くことが期待できます。

相手は☖8六歩を許してしまうと、桂の活用が間に合わなくなる懸念があることが分かりました。では、ここで☗4五歩といきなり動くのはどうでしょうか。☖同桂☗同銀☖同歩☗1一角成と進めば、駒得しながら馬が作れるので成果が上がっているように思えます。
ただ、これには☖6四角と飛び出る手が絶好の活用になり、雁木は十分に戦えるのです。

なお、解説が前後して恐縮ですが、☗4五歩と突かれたとき、こちらが☖同歩と応じていると、この局面で4五の歩と相手の持ち駒の桂が入れ替わっている勘定になります。一見、桂を渡している上図のほうが損に思えますが、もし相手の持ち駒が[香歩]だった場合、☗4四歩と打たれる手が痛打なので、こちらは危険です。
しかし、上図は[桂香]なので、4四に歩を打たれる心配はありません。また、相手は香を渡すと☖4六香が痛打なので、香を打たれる心配もないということになります。

そして、この局面は相手の☗3六歩型が祟っており、こちらの反撃が受けにくい格好です。先述したように相手は香を渡せないので、☖1九角成は何としても防がないといけません。そうなると☗3七桂打が一案ですが、☖4六歩と伸ばしておけば、駒の効率や玉型に差があるので、雁木が面白い将棋ですね。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☖3一角と引くことで、相手が指した☗3六歩を逆手に取れていることが読み取れます。

上図のような☗2六歩型の右四間飛車に対しては、[☖3三桂・☖3一角型]で迎撃するのが有力です。相手が☗3六歩を突いた瞬間に角を引くのが大事なところで、それにより将来の☖6四角が絶好の反撃になります。この構想は受け一方の展開を回避しやすいので、非常に有力です。雁木を主力にされている御方は、ぜひお試しください。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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