横歩取り系の将棋で知っていると役立つ手筋(2)
2026年10月15日 23:04
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
横歩取り系の将棋は激しい展開になりやすく、かつ自陣の守備力も高くなりにくい性質があります。ゆえに、どういった手を使えば威力が高い攻めになるのか、ということを一つでも多く知っていることが大事とも言えます。
今回は、この戦型において頻出しやすい手筋をテーマに解説を進めます。
なお、パート1の記事につきましては、以下のリンクからご覧ください。
叩きの歩を使って金駒を浮き駒にする
改めて、上記ツイートの局面を提示します。下図は相手が☖8八角成と指し、金を取ったところです。

ご覧の通り、非常に激しい乱戦になっていますね。ただ、こうした横歩取り系の将棋は大駒の価値(特に飛車)が高いので、それを占有しているこちらの方が面白い状況ではあります。このアドバンテージをどう活かすかが、こちらのテーマですね。
上図では☗8五飛と打てば、馬桂両取りが掛かるので都合が良さそうに思えます。確かに、これで良ければ話は簡単ですね。ただ、そこから☖9九馬☗8一飛成☖2二馬と進められると、どういった印象を受けるでしょうか。

こちらは8一の桂は取れましたが、相手の陣形は離れ駒が無いので、そう簡単には攻略できません。加えて、竜を捕獲されてしまったことも軽視できない点で、将来の☖7九飛が気になる展開です。上図は先手が悪くはないものの、先述したアドバンテージを失っているので形勢の差を詰められているのは確かですね。
こうした背景があるので、冒頭の局面から筆者は別の攻め方を選びました。具体的には、☗8二歩と叩きます。これが効率の良い一着ですね。

これを☖同銀と取ると、今度こそ☗8五飛が痛打となります。先程と違って桂ではなく銀が取れるので、威力が段違いですね。ゆえに、相手はこの歩を取ることができません。
そうなると、後手は☖2二馬と引くくらいですが、こちらは素直に☗同竜☖同銀☗8一歩成と進めておきましょう。

こちらは飛車を取り返されましたが、上図は駒の損得が[角角桂⇆金銀]の交換になっており、こちらが大幅に駒得しています。また、8一にと金が残っているのも心強く、相手は銀取りの処置が難しいですね。8一の桂を飛で取っても厳しい攻めになりませんが、歩で取れば自動的に銀取りが掛かるので、威力がべらぼうに高いのです。ゆえに、☗8二歩が効率の良い攻め方になるわけですね。

上図で☖6二銀と逃げると6筋が壁になるので、☗7七角などで右辺を攻めれば良いでしょう。有効な受けが見当たらない以上、後手は攻めに活路を求めるよりありません。そうなると☖8八飛が最強の攻めですが、☗7七角☖8九飛成☗6九桂で受けに回れば、こちらは問題ありません。

少し被害は受けましたが、上図は銀の両取りが残っているので、こちらが駒得を維持できるのは約束されています。また、こちらは銀を入手すれば☗5八銀と埋める手が堅いので、見た目以上に耐久力も高い格好です。上図は駒得していることや負担になっている駒がないことから、先手が優勢と言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☗8二歩と叩くことで効率的に駒を入手し、駒得を主張できる展開に持ち込めたことが読み取れます。

横歩取り系の将棋は、互いに居玉のまま激しく殴り合う展開になる定跡も多々あります。そして、こういった将棋では☗8二歩と叩いて敵陣の弱体化を図る手が、とても有効になりやすい性質があります。この手は放置すると一気に駒損が加速しますし、取るのも銀が浮いてしまうので、何とも対応に困る一着なのです。この手筋は幅広い場面で役に立つので、意識して頂ければ幸いです。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!
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