中盤の難所で意識すると良いこと(8)
2026年9月23日 16:27
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
将棋の中盤戦は茫洋なところがあり、何が正解なのか見当がつきにくい状況に直面することも珍しくありません。そして、そうした場面は往々にしてミスが出やすいものです。
そこで今回は、中盤の難所で意識すると良いことをテーマに解説を進めます。
なお、パート7の記事は以下のリンクからご覧ください。
玉型で勝っていれば強気に戦え
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗5五歩と指し、銀取りを掛けたところです。

相手はこの銀を動かすことで、4五に桂を跳ぼうとしています。こちらは銀取りを無視できないので、それを甘受するのは致し方ありません。ただし、銀を出るか引くかで今後の展開がかなり異なるので、ここでの選択は注意を払う必要がありますね。
結論から述べると、ここは☖6五銀と出て、局面を激化させるほうが得策と言えます。

なぜ前に出るほうが良いのかというと、この局面は、こちらの方が玉の堅さで勝っているからです。こちらは[☖3三銀・☖3二金型]という矢倉の骨格が作れていますが、相手は銀が6六に出ているので、その分、薄い格好と言えます。加えて、こちらだけ飛の縦利きが敵陣に直射していることも、彼我の玉の堅さに影響を与えている要素ですね。
冒頭の局面では☖4三銀と引いても互角の範疇ではありますが、自玉が囲いの堅さで勝っていれば、基本的には斬り合いは歓迎です。ゆえに、ここはアグレッシブに戦うほうが良いのです。

相手は☗同銀☖同桂と進めてしまうと、銀取りが残り損な取引になります。したがって、ここは無視して☗4五桂と跳ねるのが妥当でしょう。
対して、こちらも銀取りを無視して☖7六銀と踏み込みます。先ほど、銀を出て強く戦う選択を取った以上、その方針を一貫させることが大切ですね。

こちらは銀桂交換の損を受け入れていますが、ここまで進むと斬り合いの旗色が良いことが明確に表れつつあります。次に☖8七銀成が実現すれば、寄り形が見えてきますね。対して、こちらは銀を取られてもまだ致命的なダメージは負わないので、彼我の攻めの厳しさには明らかな違いがあります。
相手は☖8七銀成を許すと決壊するので、☗3三桂成☖同桂☗8六銀で受けに回るくらいです。ただ、こちらは☖4三角と打って引き続き8七の地点に照準を定めれば、滞りなく攻めが続きます。

8七の地点を補強する受けは、☗6九角か☗8八玉の二択です。ただ、前者では攻撃力を失うので、あまり未来がなさそうな受け方ではあります。
しかしながら、☗8八玉では上部の当たりが強くなるので、☖8五歩から畳みかければ問題ありません。上図は一方的に敵陣を攻める状況に持ち込めていることや、相手の4・5筋の金銀の働きが悪いことから、こちらが優勢だと言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☖6五銀→☖7六銀と踏み込んだことで、一気に形勢を掌握したことが分かります。

将棋において、攻めるか受けるかの判断は悩ましいものですが、それの判断基準として彼我の玉型で判断するのは非常に有効な手法です。たとえ先行きが不透明だったとしても、基本的には玉型で勝っていれば斬り合いを挑む条件を満たしていることが殆どです。特に、上図のような彼我の玉型が似ていて、しかし少し優位性を保持しているシチュエーションなら、十中八九、斬り合ったほうが良いでしょう。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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