敵玉を寄せる際に意識すべきこと(2)

敵玉を寄せる際に意識すべきこと(2)

3 views
あらきっぺ
あらきっぺ

2026年7月24日 14:22

櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

将棋で勝つためには、やはり終盤で敵玉をきちんと寄せる技術が大事です。ただ、寄せは序盤の定跡と違い全く同じ形になりにくいので、「知識をそのまま詰め込む」というアプローチで学習しにくい領域ではあります。そのため、「汎用性の高い法則」を認知することが大事ですね。今回は、そうしたことをテーマに解説を進めます。

なお、前回の記事は以下のリンクからご覧ください。

敵玉を寄せる際に意識すべきこと | コマログ
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。 今回の題材は、こちら。 将棋で勝つためには、やはり終盤で敵玉をきちんと寄せる技術が大事です。ただ、 寄せは序盤の定跡と違い全く同じ形になりにくいので、「知識をそのまま詰め込む」というアプローチで学習しにくい領域ではあります。そのため、「汎用性の高い法則」を認知す
コマログ

負担になっている駒を楽にさせない

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖3一角と指し、☗2三金の威力を緩和したところです。

この局面は飛金交換の駒損ですが、玉型に大差がついていること、及びこちらの方が駒の効率が良いので先手優勢です。ただ、このまま指をくわえていると敵玉が安全になったり駒損が拡大したりするので、急ぐ必要がある状況ですね。

さて、ここで攻める手は複数ありますが、例えば☗4三金☖4一玉☗5三金☖同角☗4三銀成と進めるのはどうでしょうか。手番を取りながら銀を成り込めるので、好調な手順に感じるかもしれません。

ただ、結論から述べると、これは急所を外しています。具体的には☖7一角と引かれると、そこで厳しい攻めを放つことが難しく、攻めあぐねた格好になっていますね。

上図でこちらの攻めが失敗している理由は複数ありますが、一番の要因としては敵の負担を解消させている点にあります。もう少し具体的に述べると、3一の角の動きを楽にさせた罪が重いのです。

冒頭の局面において3一の角は可動域が少なく、先手の攻撃目標になりかねない駒でした。しかし、上図は☖7一角と引けば安定していますし、☗4四角の活用を牽制する役割も担っています。このように、負担になっている駒を楽にさせると、攻める条件が悪化するので選びたくないのです。

こういった背景があるので、筆者は冒頭の局面から別の攻め方を選択しました。具体的には、☗2二歩と叩きます。これが最もスマートな一着ですね。

なお、代えて☗2三金~☗2二歩と迫る順もありますが、単に歩を打つほうが手持ちの金を温存できるので勝ります。「金はトドメに残せ」という格言が教えるように、この駒を使わずに済むなら手放さないほうが賢明です。

後手は2二の歩を☖同玉は頭金でアウトですし、☖同角は☗4三金が王手銀取りです。仕方がないので本譜は☖2九銀成で開き直ってきましたが、☗2一歩成☖4二角☗3三桂と進めれば、明快に寄り筋となりました。

これは☗4三金や☗2三金などの詰めろです。後手がそれを解除するには☖3三同角よりないですが、☗4三金と打てば王手角取りが掛かりますね。上図はこちらの寄せが綺麗に決まっており、先手勝勢だと言えるでしょう。

こうして一連の進行を見ると、後手は常に角が負担になっていることが分かります。

敵玉を寄せる際にはどうしても玉を目標にしてしまいがちですが、失敗例のように敵玉へ迫っている過程で敵の駒の効率を高めてしまうと、攻めあぐねるケースが少なくありません。むしろ、効率の悪い駒(負担になっている駒)は活用させず、目標にする要領で攻めるほうが得策です。こうしたことを意識すると、スマートな寄せが見つかりやすくなるかと思います。

最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。

また、櫻井将棋塾では、こうした将棋に関する発信やオンライン講座、オンライン指導などのサービスを提供しております。もしご興味がありましたら、以下のリンクからお申し付けください。

https://sakurai-shogi.co.jp/contact

それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!

#その他#櫻井将棋塾#本筋の指し方#寄せの技術#終盤力の強化#攻めの手筋
あらきっぺ

将棋系文筆家。本名は荒木隆。櫻井将棋塾の特別講師を担当。著書に「現代将棋を読み解く7つの理論」「終盤戦のストラテジー」など。将棋世界にて、「プロ棋界の最新定跡」「今月の妙手」を連載中。

人気記事

敵玉を詰ますときに意識するとよいこと

敵玉を詰ますときに意識するとよいこと

致命傷を避ける際に意識すべきこと

致命傷を避ける際に意識すべきこと

【対角交換振り飛車で役立つ攻め筋】

【対角交換振り飛車で役立つ攻め筋】