敵玉を寄せる際に意識すべきこと(4)
2026年11月5日 16:30
櫻井将棋塾の特別講師を担当しております、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
将棋で勝つためには、やはり終盤で敵玉をきちんと寄せる技術が大事です。ただ、寄せは序盤の定跡と違い全く同じ形になりにくいので、「知識をそのまま詰め込む」というアプローチで学習しにくい領域ではあります。そのため、「汎用性の高い法則」を認知することが大事ですね。今回は、そうしたことをテーマに解説を進めます。
なお、パート3の記事は以下のリンクからご覧ください。
早逃げを許さない寄せを行え
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗1五香と指し、攻め合いを挑んだところです。

この局面は、こちらが手番を得た状態で桂得しており、かつ攻め駒も急所に配置できています。ゆえに優勢な局面ではありますが、こうしたところで的確に寄せを行わないと、途端に紛れてしまうのが将棋の怖いところでもありますね。
平凡に攻めるなら、☖6七桂成☗同玉☖7七銀が挙げられます。こうすれば金が確実に剥がせますし、飛車の成り込みも期待できますね。
ただ、そこから☗5八玉☖7八銀不成☗1二歩成と進められると、どういった印象を受けるでしょうか。

確かにこちらは金銀を剥がせましたが、敵玉は3・4筋方面へ逃げ出せる格好になっており、まだまだ粘りが利く格好です。加えて、こちらは次の☖8七飛成が速いとは言えない攻めなので、この瞬間に猛攻を浴びることが予想されます。ゆえに、この進行は歓迎すべき状況ではありません。
一見、自然に金駒を剥がす順が、なぜいけなかったのでしょうか。これは複数の理由がありますが、最も注目しなければならない点は、敵玉の早逃げを許していることです。こちらは7・8筋を攻略しているわけですが、上図のように3・4筋方面へ逃げられる格好になると、攻めが空転することになりかねません。冒頭の局面から☖6七桂成☗同玉☖7七銀という攻め方では、早逃げを助長させているので芳しくないのです。

こうした背景があったので、上図で筆者は別の攻め方を選びました。具体的には、☖7七歩成☗同金☖8七角成と指します。これが敵玉の逃走を許さない寄せ方ですね。

あえて銀を取らないのがミソで、それを保留しておけば[☖6七桂成☗同玉]という順で敵玉を6筋に呼び寄せることが期待できます。つまり、☗5八玉という早逃げを牽制できるわけですね。
ただし、6七の銀に金の紐が付いている状態だと、☖6七桂成を☗同玉と取ってもらえる保障がありません。ゆえに、7五の桂を残した状態で敵の金を先に剥がすのです。こうすれば、相手は自分の守備駒が負担になり、玉を逃走させるのが難しくなります。

これを放置していると、☖7七馬☗同玉☖8七飛成から敵玉を詰ますことが可能です。ゆえに、相手は何らかの受けが必要ですね。そうなると☗8六歩が一案ですが、それには☖2八歩☗同飛☖6七桂成が好手順。☗同金なら馬取りが解除されたり、いつでも飛車が走れるようになります。しかし、☗6七同玉だと☖6九馬と侵入する手がありますね。
他には☗7八銀と引く手も一考ですが、これには☖7七馬で金を剥がすのが明快です。

これを☗同銀だと、☖6七金☗5九玉☖8九飛成で一手一手の寄り筋です。相手は☗6九角と打つよりないですが、ここに角を打たされると、その角が負担になってしまい、4筋方面へ早逃げするのが現実的ではなくなります。
しかし、ここで☗7七同玉と応じると、☖6七金と打っていきなり詰み筋に入ります。☗同銀には☖8七飛成☗6八玉☖6七桂成☗5九玉☖8九竜で、ピッタリ捕まっていますね。7五の桂を残しておくことで、それが押さえの駒として機能していることが分かります。上図はこちらの寄せが決まっているので、勝勢だと言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、敵玉の早逃げを助長しない攻め方の重要性がよく分かります。

将棋の格言に、「王手は追う手」というものがあるのは、皆さんもご周知の通りでしょう。この格言で大事なところは、王手ではなく後半の「追う手」です。つまり、敵玉を安全地帯に追う手を指すのは悪手であることを示唆しています。
それを踏まえると、敵玉の早逃げを助長させる攻め方も、もちろん悪手ということが言えます。上図のように、守備駒を負担にさせて早逃げしにくい状況を作っておけば、敵玉の逃走を間接的に防げるので、寄せがスマートに進みます。これはレベルの高い技術ですが、使いこなせるようになれば終盤力が格段に上がるので、ぜひ意識してみてください。
最後に、テーマ図から最終図、及びそこからの理想手順を入力した図面を挿入しておきます。動かして確認することが出来るので、お試しください。
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それでは、また。ご愛読くださり、ありがとうございました!
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